市民発電所の事例紹介(2019)



事例04

長野県上田市

相乗りくん とっこSUN発電所

 

設 置 者:NPO法人上田市民エネルギー

発電出力:66.24 kW(モジュール容量)

お米も穫れます。みんなが集まるソーラーシェアリング

 

 上田市民エネルギーの市民出資型のソーラーシェアリング『相乗りくんとっこSUN発電所』は、2018年5月29日に発電を開始しました。相乗りくん(当台帳2017年版を参照)の市民出資+長野県+地元信金の力を合わせた、まさに地域の共同発電所です。この発電所を見守るようにそびえる「独鈷山(とっこさん)」に因んで命名しました。

 

 

 それまで当法人では、資金調達は市民出資だけで発電所を増やしていましたが、2017年度は住宅数軒以外に50kW規模の発電所の案件が4件あり、市民出資が間に合わないと予想して他の資金調達に初挑戦することに。まず長野県の収益納付型補助金(再エネのハード事業に対して補助し無利子で返済)に申込みましたが、この補助金を受ける条件に「地域金融機関の融資を受けること」とあり、上田信金のドアを叩きました。当時は上田で開催された「第2回ソーラーシェアリングサミット」(メイン講師は城南信金の吉原顧問)に上田信金の担当者が参加してくださるなどタイミングがよく、審査に通り、15年融資を受けることができました。早期からソーラーシェアリングに関心を持って研究していた同信金の理解があってこそでした(NPOに融資するのも初めてとのことです)。

 発電開始して以降、本当に大勢の方の視察を受けました。各地の地域エネルギーのみなさん、県外の議員や行政職員のみなさん、アジア各国の市長始めエネルギー担当者たち50人が来られたこともあります。水田でのソーラーシェアリングは難しいのでは?とよく質問されますが、水田は地面が必ず水平なので設置工事がしやすく、また先例ができて生育に問題ないとわかると、たいてい近隣にたくさんあるので波及しやすいと思います。ただ田植えの時期から夏の終わりまでの期間は水を貼っているので工事や修理がしにくいということはあります。

 

 農水省の営農型太陽光発電取組み支援ガイドブック(2018年度版)にも「農家と市民組織が共同で発電設備を運営」と紹介されました。なにより、相乗りくん参加者が何度もこの発電所に集まって、農閑期に田んぼの中を散歩したり、30年度に頂いた環境大臣賞の動画撮影を行ったり、田植え後に稲の生育を見守ったり、そのお米で作った日本酒で乾杯したり……と、みんなをつなぐ相乗りくんのシンボルがまた1つ増えたことを喜んでいます。



事例06

岡山県津山市

津山さくら発電所「道の駅 久米の里」

 

設 置 者:一般社団法人つやま市民協働発電所

発電出力:10 kW 

市民発電所と“道の駅”は、相性ぴったり

 

 地域産品の販売や、周辺地域の交流機能を備え、最近では公民館や福祉施設と並んで欠かせない公共施設になりつつある「道の駅」ですが、その屋根にソーラーパネルを設置し、市民発電所として活用する地域も、徐々に増えてきています。

 

 2003年に誕生した「NPO法人エコネットワーク津山」は、環境活動の分野で津山市との協働を重ねながら、自然エネルギーの活用についてともに研究を重ねてきました。そして今後の展開を考えて「一般社団法人つやま市民協働発電所」、および事業主体としてエコネットワーク津山、津山市、地元企業 2社の出資による「合同会社津山さくら発電所」を立ち上げることに。その結果、2015年4月に「すこやか・こどもセンター」発電所(出力42kW)とともに「道の駅久米の里」発電所が誕生しました。

 資金調達方法として、すこやか・こどもセンターでは擬似私募債を活用しましたが、道の駅久米の里では、大勢の目に触れる施設であることから、インターネットを活用。津山市で創業したベンチャー企業のレプタイル、津山信金、津山市、そして津山さくら発電所の 4者でクラウドファンディングの協定を結び「FAAVO岡山」という Webサイトで募集したところ、目標額70万円を大きく上回る125万円(達成率178パーセント)の資金を158名の人から集めることができました(残り約300万円は、金融機関が融資)。

 

 また、つやま市民協働発電所の目的に「低炭素都市つやまの実現」などと並んで「地域の活性化に資すること」を掲げていることから、支援に対する返礼品には、市内の店舗・施設から協力を得て、阿波(あば)温泉入浴券、つやまラーメン、地元産焼酎など、地域産品をとことん活用。あえて「地域」にこだわったことにより「津山への想いを持つ方からの応援や、市からの理解・協力もいただけるものになった」と、つやま市民協働発電所代表の堤宗之さんは考えています。

 道の駅には電気自動車用の充電スタンドもあるほか、農産物売り場には発電状況を表示するモニターも取り付けられ、まさに低炭素都市をアピール。環境学習やイベントの場としても、道の駅は活用されています。現在は、道の駅や、前述のすこやか・こどもセンターを含む市有施設 4ヶ所において、合計出力92kWの市民発電所が津山市で稼動しています。



事例07

岡山県岡山市

岡輝おひさま発電所、ほか

 

設 置 者:NPO法人おかやまエネルギーの未来を考える会(エネミラおかやま) 

発電出力:28.98 kW

自治体との協働による発電所づくり

 

 2016年度に岡山市立岡輝(こうき)公民館・岡西(こうざい)公民館へエネミラの9基・10基目となる市民共同発電所を設置しました。発電所は2002年以降、岡山市へ6基、西粟倉村と倉敷市へ1基ずつと、いずれもエネミラが公共施設の屋根を借りて設置してきたのですが、これまでと違うのは、岡山市環境保全課と中央公民館(地域公民館を統括する立場)、それにエネミラの3者が連携して企画を練り、「平成28年度岡山市市民協働推進モデル事業」へ「公民館への太陽光発電の設置と環境学習による持続可能な社会の推進事業」として応募し採択された事業ということでした。公民館は教育委員会の管轄のため設置が困難な施設でしたが、環境保全課が仲介することで中央公民館が了承され、実現できました。

 ▲岡輝おひさま発電所

 岡山市に公民館は37館ありますが、南向けの傾斜屋根で築年数が比較的新しいこと、パネルの重量に耐えられる屋根であること、そして公民館が地球温暖化や再エネの連続講座を実施する意欲があるところとなれば、候補施設は限られていました。中には職員さんはやりたくても屋根が不向きという公民館もありました。当初は設置する公民館を3館目標にしていましたが、当該年度では2館しかできず、もう1館の一宮公民館は翌年度に設置しました。公民館は地域のものという認識が強く、運営委員会の了承を得ることが必要でした。そのため、環境保全課、中央公民館、エネミラがそれぞれの立場から誠意をもって意義を説明し、各公民館の館長さんも後押ししてくださいました。そうした連係プレーにより岡輝公民館に28.98kW、岡西公民館に13.86kWを設置することになりました。(一宮公民館は12.6kW)

 

 モデル事業の中身ですが、発電所の設置費用をエネミラが寄付や銀行融資、疑似私募債で賄うことは変わらず、合わせて行う4回の連続講座(座学や西粟倉へのバスツアー)が補助金の対象でした。発電所を設置することだけでも温暖化防止に貢献できますが、公民館は地域における生涯学習の要であり、地球温暖化問題を地域で考えてもらうには最適な場です。これまでエネミラが公民館講座の講師を受けたことはありますが、単発のものばかりで、じっくり温暖化や再エネをテーマに取り上げる機会はなく、この企画を相談する中で館長・職員さんが再エネの重要性を率先して理解してくださったことがなによりも大きな成果だと思っています。また公民館と協働して行うことで職員さんのスキルを十分に発揮してもらえ、とてもスムーズに活動を行うことができました。

 

 公民館は非常時には避難所となるため、エネミラの発電所を非常用電源として提供することになっています。そのことを職員さんが地域のみなさんに伝え、地域の方も寄付に協力してくださったり、発電所の完成を心待ちにしてくださいました。3公民館では翌年度も環境をテーマの講座を開催され、温暖化問題を地域の課題として取り組んでいただいています。