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市民発電所台帳2019


 おかげさまで「市民発電所台帳」は、今年で 4年目を迎えます。はじめは、手探りではじめた台帳づくりでしたが、年を経るにつれて、何事かを物語るデータの集積になってきたなと感じています。もとより、日本全部のデータを集めきれてはおりませんので、正確さには無理があります。あくまで、傾向を読むというのが、この台帳の役目かと思います。 

 

 それでも、FIT制度の終焉などと言われている現在も、小規模太陽光発電所の設置単価はほとんど下がってはいないこと。その現実を反映して、設置数がどんどん減っていることが、はっきりとした傾向として現れています。これからは、この現実の中で、再生可能エネルギー事業をどのように維持し、発展させていくのかが大きな課題となると思います。

 

 そういう観点から、今回の台帳では風力、小水力、バイオマスに焦点を当てる編集を行ってみました。これらはどれも、数百kWから、数MW規模となり、市民発電所というには規模が大きくなります。担い手も、市民団体だけではなく、地域の中小企業、自治体などへと広がりました。 

 

 それは台帳の趣旨から外れるのではないかとのご意見もあるかと思いますが、今後の再生可能エネルギー事業全体の発展を考えてのシフトと受けとめていただきたいと思います。太陽光発電だけでは日本の全エネルギーを賄えない(少なくとも夜が無理)ことははっきりしていますし、市民の発電所は小さいものという固定概念も取り去らねばならないと思います。

 風力発電としてデータを提供していただいた「市民風力発電」は、日本で最初の市民風車を立て、今では全国に風力発電事業を展開している事業者です。1基が数億円するものを何基も立てています。小水力もバイオマスも数億円から数十億円の規模になります。市民発電所も、その規模になっても良いのではないでしょうか。

 

 初期費用が大きく、コスト回収には時間がかかるという再生可能エネルギー事業の特殊性から、短期利潤を目指す企業には、これは向きません。脱原発や地球温暖化防止のために、薄利でも発電所を増やすという市民発電所にこそ向いています。

 

 地域企業が取り組んだ風力発電事業や、自治体が取り組んだ小水力発電事業も、市民が同じ事業に取り組む時の大きな参考になります。そのために、今回は市民発電所の枠を超えて、多くの発電所の事例紹介もさせていただきました。

 

 小さな日本という島の中で、自分たちの使う電気を作るために、自分たちの発電所をつくる。それこそが、大きな地産地消、地域資源の有効活用ということにつながるのではないでしょうか。 

2019年 10月

特定非営利活動法人市民電力連絡会

 

理事長 竹村 英明



小冊子「市民発電所台帳2019」

 「市民発電所台帳2019」は、比較的小規模な市民・地域電力事業の実態把握から、再生可能エネルギーのさらなる発展や政策提言につなげることを目的に作成しており、今回で4回目となります。

  首都圏を中心とする会員団体および非会員団体に対し、運営する発電所についてアンケート調査を行い、回答があった713の太陽光発電所(出力合計32,008kW)データの集計・分析を中心としながら、特徴的な発電所事例14か所を紹介したコラムや集計・分析結果に対する 2名の識者からの講評も掲載しています。

<2019年版の主な特徴点>

 

〇はじめて、風力発電、小水力発電についても集計

再生可能エネルギー発電の担い手が市民のみならず地域(事業者や自治体)に広がる中で、市民・地域主導による風力発電(35 基)や小水力発電(9 か所)についても調査・分析した。

 

〇下がらない太陽光発電の施工単価

太陽光発電の施工単価は、2016年以降横ばい状態にあり、2019年ではモジュールベースで17万円/kW、パワコンベースで25万円/kW となっており、設置の動きを鈍化させている。

 

〇太陽光発電トラブル事例についても考察

14件のトラブル事例では、自然災害がほぼ半分を占めたが、設計不良、製品不良、操作ミス、施工会社の申請手続きミスなど人為的な予見可能な事例も散見された。

 

〇FITで発電方法に明暗?

FIT 制度開始以後の設置数では、風力発電が少なくなるのに対し、小水力は増えている。太陽光発電の激増を生んだ制度上の課題が浮き上がる。

 

〇再生可能エネルギー主力電源化に向けた課題

再生可能エネルギーの主力電源化をめぐる政府の議論の中で、競争電源と地域活用電源に分けた議論が進められており、地域活用電源における市民電力の位置づけが必要。


市民発電所MAP(2019年7月調査)

データ収集に使用した553の市民発電所の所在自治体を、日本地図にプロットし公開しています。