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市民発電所台帳2018


 今年、日本は度重なる台風の襲来を受けました。西日本を中心とする豪雨災害で犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、被害を受けられた方々のお見舞いと一刻も早い復興を祈念するものです。これらの被害は、産業革命以降急激に進んだ化石燃料の消費による二酸化炭素の排出増大がもたらした気候変動の影響と思わざるを得ません。一刻も早い再生可能エネルギーへのシフトが求められます。

 

 市民電力連絡会は、2014年2月に結成されました。市民や地域主導による比較的小規模な再生可能エネルギー発電事業を「市民電力」と位置づけ、その知見や経験を学びあうことで、市民電力のさらなる発展と再生可能エネルギーの拡大を図るために活動しています。連絡会に参加する市民電力団体や個人の多くは、FIT 制度に基づく全量売電を行っており、大半は発電出力50kW 未満の低圧です。

 

 しかし、FIT 制度の調達価格算定では、大規模発電所のスケールメリットを生かした比較的安価な施工単価に引っ張られ、調達価格が年々下げられていきました。そして、この要因は、比較的小規模でスケールメリットを生かせない市民電力の施工単価が反映されていないためだと考え、会員に施工価格等に関するアンケートを実施するに至りました。これが「市民発電所台帳」作成のきっかけです。

 2016年度版は100件程度の事例しか集まりませんでしたが、2017年度は「市民・地域共同発電所全国フォーラム」や「気候ネットワーク」、「全国ご当地エネルギー協会」の協力を得て200 件超の発電所について集計・分析することができました。そして、2018年度版も前年度と同様のご協力を得て、前年度の倍以上にあたる500件超の事例が集まりました。発電開始年代も1990年代後半から2018年までと幅広く、事業主体や資金調達方法も多種多様な事例が集まったと自負しております。また、地域的にも西日本に広がりました。

 

 今回の分析では、これまでの暦年から年度ごとの集計に変更しましたが、結果から分かったことは、FIT価格の低下に伴い、発電所の建設件数は2015年をピークに減少しているものの、建設意欲はいささかも衰えておらず、FIT制度が無い時代においても市民出資と助成金の組み合わせ等によって旺盛に取り組まれていたことです。

 

 このデータは大変貴重なものです。市民電力に興味を持つ、または市民電力事業を指向する皆様の今後の活動や政策立案等にご活用いただければ幸いです。

 

 最後に、この台帳作成にあたり資金面でご協力いただいた「LUSH JAPAN チャリティバンク」および日本労働組合総連合(連合)「愛のカンパ」に感謝申し上げると共に、アンケート調査にご回答いただいた全ての市民電力団体に御礼申し上げます。

 

 

 

2018 年10 月

特定非営利活動法人市民電力連絡会

 

副理事長 山﨑 求博

 

 



小冊子「市民発電所台帳2018」

「市民電力連絡会」として3回目となる「市民発電所台帳」の2018年版は、10月5日に発行されました。全国553ヶ所におよぶ太陽光発電所データの集計報告・分析のほか、事例紹介ページで小水力・風力・バイオマス・地熱(温泉水)とすべての自然エネルギーを含めるなど、市民パワーでエネルギーシフトを目指す人々に注目のデータ集としてお薦めできる内容です。

<2018年版の主な特徴点>

 

〇施工単価の下げ幅がFIT(固定価格買取制度)価格に追いつかず

FIT制度開始前の急激な施工単価の下げ幅が、FIT制度開始後には横ばいとなり、FIT価格の低下に50kW未満の低圧設備の設置単価は追いつけていない。

 

〇スケールメリットを生かした資金調達

比較的規模の大きな農地ソーラシェアリング増加で、金融機関融資や自己資金(会社の増資等)が増加。

 

〇発電所立地は福祉施設と農地に

発電所数では福祉施設等が1位、発電出力数では「農地等」が約 4割弱を占める。

 

〇重要性を増すメンテナス

昨年調査の47%から71%へと大幅増。FIT法改正でメンテナスへの取り組みが重要に。

 

〇新電力への売は1割にとどまる

FIT 法改正による送配電事業者の買取義務化で、新電力と市民電力との直接取引の道が閉ざされ、再生可能エネルギー電力供給を指向する新電力への供給が困難に。



市民発電所MAP(2018年7月調査)

データ収集に使用した553の市民発電所の所在自治体を、日本地図にプロットし公開しています。